フリーダイビングを始めると、すぐにこの壁にぶつかる。練習する場所がない。

普通のスポーツクラブのプールは水深1.1〜1.4m。潜れない。フィンの使用を禁止しているところも多い。では水深5mのダイビングプールへ、と思って調べると、今度は「個人利用不可」「有資格者の常駐が必要」という文字が並ぶ。

この記事は、首都圏の水深4m以上のプールを公式資料で洗い出し、実際にどうすれば潜れるのかを書く。数値と利用条件はすべて施設公式サイト・公式PDFで確認した(取得日:2026年8月20日)。


結論:個人で行って潜れるプールは、ほぼ存在しない

先に結論を書く。これが分かっていないと時間を無駄にする。

首都圏の深いプールは、大きく3つに分かれる。

  1. 公営のダイビングプール(東京アクアティクスセンター、横浜国際プール、千葉県国際総合水泳場) → 個人利用ができないか、できても**「飛込練習専用」。フリーダイビングの練習には使えない。団体で借りるには有資格者の常駐**が要件。
  2. 民間のダイビングプール(ラック シャトー小金井、國富ダイビングプールなど) → 契約しているダイビングショップ経由での利用が基本。個人で予約する窓口が開かれていない。
  3. スクールの練習会これが唯一の現実的なルート。 上記1・2の施設を、スクールが枠を押さえて開催している。

つまり、「良いプールを見つける」問題ではなく、「良い練習会を見つける」問題だ。以下、施設側とスクール側の両方を並べる。


施設編:首都圏の深いプール一覧

施設 水深 個人利用 立地
東京アクアティクスセンター 5.0m 一般開放時は飛込練習専用 江東区辰巳
横浜国際プール 5.0m 不可(明記) 横浜市都筑区
千葉県国際総合水泳場(飛込プール) 5.0m 事前登録者のみ 習志野市
ラック シャトー小金井 6.0m(+1.4m) 契約ショップ経由 小金井市
國富ダイビングプール(市川マリンセンター) 5.0m スクール経由 市川市
マレア池袋 最大3.0m スクール講習内 豊島区
OKマリンプロ(練馬) 1.2m/5.0m(要確認) 未確認 練馬区
ペガサスダイビングプール 未確認 未確認 船橋市高根町

東京アクアティクスセンター(辰巳)— 5m。ただし条件が厳しい

東京2020のレガシー施設。ダイビングプールは水深5.0m、25m×25mの国際公認プールで、首都圏では最も条件の良い水深だ。

ここで最も誤解されているのが「個人でも入れる」という話なので、公式資料で正確に書く。

一般開放予定表(令和8年8月分)の注記に、こうある。

<ダイビングプール> 1.一般開放時の個人利用は、「飛込練習専用」となります。

つまり一般開放の時間帯にダイビングプールへ入れても、それは飛込台からの飛込練習のための枠であって、フリーダイビングの潜水練習の枠ではない。さらに飛込台の利用には 「飛込競技経験者であることの証明が必要となります」 という条件がつく。

では団体で借りればいいのか。団体登録の要件PDFにはこう書かれている。

〈資格について〉・利用時において、次の基準を満たしている有資格者の常駐が必要です。 ・スキューバダイビング、シュノーケル、スキンダイビング利用の場合 ①スキューバダイビングのライセンス資格(インストラクター程度)

注意深く読んでほしい。利用の種目としてはスキンダイビング(=素潜り)が明記されている一方で、**求められている資格は「スキューバダイビングのライセンス資格(インストラクター程度)」**と書かれている。文面通りに読むかぎり、フリーダイビングのインストラクター資格だけで団体登録が通るとは書かれていない。

実際にはこの施設でフリーダイビングの練習会が複数開催されている。運用上どう扱われているのか(フリーダイビング指導者資格で可なのか、スキューバのインストラクター資格を持つ人が常駐しているのか)は、公開資料からは判断できない。ここは施設に直接確認すべき点として明記しておく。

  • 所在地:東京都江東区辰巳2-2-1/電話:03-5534-6410
  • 参考:一般個人利用(メインプール・サブプール)は700円/2時間30分。ただしメインプールの一般開放レーンは水深2.0m、サブプールは1.1〜1.4mで、深場の練習には使えない。

横浜国際プール — 5m、個人利用は明確に不可

25m×25m・水深5mの国際公認プール。公式ページに一文でこう書かれている。

ダイビングプールは個人利用出来ません。

団体利用のみ。申込方法・引率者要件については公開ページから正確な文言を取得できなかったため、電話(045-592-0453)での確認を推奨する。なお、しばしば「FAX 045-592-0453」として紹介されるが、複数の情報源で 045-592-0453は電話、FAXは045-592-1402 と表記されており、混同されている可能性が高い。ここも要確認事項とする。

千葉県国際総合水泳場 — 飛込プールは5m

飛込プールは25m×25m・水深5.0m。利用は事前登録者に限られる。

よく引用される「潜水は禁止です」というFAQ記述があるが、これは原文を読むと Q「飛び込み、潜水は可能ですか」への回答で、メインプールに関するルールとして書かれている。

飛び込みはメインプールの指定されたコースのみ可能です。潜水は禁止です。

飛込プールでのフリーダイビング利用の可否について述べた記述ではない。 ここも施設への直接確認が必要な項目だ。

ラック シャトー小金井 — 首都圏最深の6m

JR中央線武蔵小金井駅から徒歩4分、ビルの地下2階にあるダイビングプール。公式サイトの記述は明快だ。

水深6mと1.4mのプールです。

首都圏で最も深い部類に入る。契約ダイビングショップの講習場所として提供されており、後述の BIG BLUE や PLATYPUS がここで定期練習会を開催している。

⚠️ 水深表記の食い違いに注意。 施設運営会社の公式サイトは6mと明記しているが、ここを使っているスクール側のサイトには「4m」と書かれているものがある。メインとサブの取り違え、あるいは実際に使用する区画の違いの可能性がある。深度を目当てに行くなら、事前に「当日使うのは何mか」を確認したほうがいい。

國富ダイビングプール(市川マリンセンター)— 5m・通年30℃

東西線原木中山駅から徒歩約15分。屋内のダイビング専用プールで水深5メートル、公式サイトによれば水温は平均30℃。冬でも寒くないのは実務上かなり大きい。

TRUE NORTH がこの施設を使ったフリーダイビングのプール練習プログラムを公開しており、料金は以下の通り(指導料・プール施設利用料・ウェイトレンタル料を含む)。

  • 都度払い:9,900円/1回
  • 4回券:35,640円(1回あたり8,910円・有効期限6か月)
  • 8回券:63,360円(1回あたり7,920円・有効期限12か月)

スクール編:実際に潜れるルート

ここからが実務。施設ではなく練習会を探す、が正解になる。

スクール 会場 1回あたり 備考
サニーブルー 横浜国際/東京アクアティクス/小金井 5,000円(初回7,000円) 首都圏の深場を横断的に使う
ぽんた 東京アクアティクス(辰巳) 3,300円〜(自主練習) 最安。ペガサスプールも使用
PLATYPUS シャトー小金井 6,000〜8,000円 種目別(下記)
BIG BLUE シャトー小金井 要問合せ 週4日開催
TRUE NORTH 國富(市川) 9,900円/回数券あり 器材レンタル込み
Purna 12,000円〜(2時間)
マレア池袋 自社プール(最大3m) コース制 水深は浅め

PLATYPUS(シャトー小金井)は種目別に分かれているのが特徴で、自分の弱点に合わせて選べる。

  • スタティックトレーニング:7,000円
  • ダイナミックトレーニング:7,000円
  • フィンワークトレーニング:6,000円
  • LSDフィンワークトレーニング:6,000円
  • スキン相談室・ドルフィンスイムクラス:8,000円
  • ※1人参加時は +1,500円

BIG BLUE(シャトー小金井)は週4日の定期練習会を組んでいる。水曜19:30ダイナミック、木曜19:30スイムレッスン、金曜19:30フィンワーク、土曜9:30スタティック・12:30体験クラス。料金は公開されておらず問い合わせが必要。

ぽんた(船橋)の東京アクアティクスセンター自主練習が 3,300円〜 で、確認できた範囲では最も安い。


選び方:3つの軸で決める

① 頻度で決める。 月1回なら都度払いでいい。週1回のペースを作るつもりなら、回数券のあるスクールか、1回5,000円前後のところを選ばないと年間コストが跳ね上がる。月1回×12回でも、5,000円のところで年6万円、9,900円のところで年約12万円。倍以上違う。

② 種目で決める。 深度を伸ばしたいのか、ダイナミック(水平距離)を伸ばしたいのか、単に息こらえを安定させたいのかで、必要な水深は変わる。ダイナミックとスタティックなら水深2mでも成立する。 深度練習が必要なときだけ5m・6mのプールを選ぶ、という使い分けが合理的だ。PLATYPUSのように種目別メニューが分かれているところは、この判断がしやすい。

③ 冬をどうするかで決める。 海洋実習は伊豆でおおむね6〜11月。12〜5月はプールしか選択肢がない。 冬の練習を止めない前提でスクールを選ぶなら、屋内かつ水温が高い施設(國富の平均30℃など)を押さえているスクールが有利になる。


現地に電話する前に、聞くべきこと

公式サイトで確認できなかった項目を、そのまま質問リストにしておく。

東京アクアティクスセンター(03-5534-6410)

  • 団体登録の資格要件について、フリーダイビングの指導者資格で登録できるか(PDFの記載は「スキューバダイビングのライセンス資格」)
  • ダイビングプールの一般開放枠で、飛込以外の潜水練習は可能か

横浜国際プール(045-592-0453)

  • 団体利用の引率者・人数要件の正確な条件
  • フリーダイビング(スキンダイビング)での利用可否
  • 申込FAX番号の確定(045-592-1402か)
  • ウエットスーツ着用および潜行の可否

千葉県国際総合水泳場

  • 飛込プールでのフリーダイビング練習の可否、登録要件、料金

ラック シャトー小金井(042-316-7571)

  • 契約ショップ以外からの直接利用の可否
  • 当日使用する区画の実水深(公式6m/スクール表記4mの食い違い)

OKマリンプロ(練馬)/ペガサスダイビングプール(047-439-1021)

  • フリーダイビング利用の可否・水深・料金

この記事の限界

正直に書いておく。

  • 公式サイトの本文構造上、確認できなかった項目がある。 特に横浜国際プールの引率者要件・器材制限、千葉県国際総合水泳場の飛込プール利用条件は、公式ページから正確な文言を取得できなかった。上記の質問リストは、その未確認部分そのものだ。
  • OKマリンプロは公式サイトのSSL証明書エラーで参照できず、水深・料金ともに未確認のまま掲載している。
  • 料金は改定される。 掲載額はすべて2026年8月20日時点の公開表示で、税込・税別の別が明記されていないものも含む。
  • 東京アクアティクスセンターの団体登録要件については、記述と実際の運用が食い違っている可能性が高いと考えている。確認が取れ次第、この記事を更新する。

この記事は毎月更新する。料金改定・新規施設・閉鎖の情報があれば教えてほしい。


掲載内容は各施設・スクールの公開情報に基づきます。利用条件は変更される場合があるため、訪問前に必ず各施設へご確認ください。プールでの息こらえ練習は、必ず監視者・バディの立ち会いのもとで行ってください。